結論:賃貸物件のシロアリ駆除費は、原則として大家(貸主)負担です。
民法第606条「賃貸人の修繕義務」により、建物の主要構造を維持する責任は所有者にあります。
ただし、入居者がダンボールを大量に放置していた・水漏れを通知せず放置した等の善管注意義務違反がある場合は、借主負担になるケースもあります。
本記事ではアパート・分譲マンション・賃貸マンションそれぞれの費用負担ルールと、発見時の正しい連絡手順をシロアリ駆除コンパス編集部がまとめました。
- 賃貸シロアリの費用負担【物件タイプ別早見表】
- 1. なぜ大家負担が原則なのか:法的根拠
- 2. 借主負担となる「例外3パターン」
- 3. 分譲マンションでの責任分担:管理組合と区分所有者
- 4. 賃貸でシロアリ発見時の正しい連絡フロー
- 4-2. 状況別「誰が払う?」シナリオ早見表
- 5. アパートと分譲マンションのシロアリ発生リスク比較
- 6. 大家・管理会社が動かない場合の対処
- 7. 賃貸契約書のチェックポイント【特約に注意】
- 8. 物件タイプ別のシロアリ被害実例【2026年版】
- 9. 「大家・管理会社が動かない時」の段階的エスカレーション
- 10. シロアリ発見時の連絡フロー【保存版チェックリスト】
- 11. 賃貸契約書の「シロアリ特約」チェックポイント
- 12. シロアリ予防の「大家×借主」分担モデル【新提案】
- FAQ:賃貸シロアリのよくある質問
- まとめ:賃貸シロアリは「即連絡・記録・自分で触らない」
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賃貸シロアリの費用負担【物件タイプ別早見表】
| 物件タイプ | 専有部の被害 | 共用部の被害 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 賃貸アパート(木造) | 大家 | 大家 | 築年数古いほどリスク大 |
| 賃貸マンション(RC) | 大家 | 大家 | 1階・地下階で発生事例 |
| 分譲マンション(持家) | 区分所有者 | 管理組合 | 規約で要確認 |
| 賃貸一戸建て | 大家 | 大家 | 木造比率高くリスク最大 |
| サブリース物件 | サブリース会社 | サブリース会社 | 管理会社経由で申請 |
1. なぜ大家負担が原則なのか:法的根拠
民法第606条第1項は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定めています。シロアリによる構造材の損傷は、建物の使用に支障をきたす重大な問題のため、貸主の修繕義務に該当します。これは公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の標準契約書ひな形でも明記されています。
2. 借主負担となる「例外3パターン」
民法第400条「善管注意義務」により、入居者にも以下の義務があります。これに違反した場合、駆除費・修繕費の一部または全額が借主負担となります。
パターン①:シロアリ誘引環境の放置
段ボール・古本・発泡スチロールの山積み、湿気こもる物の溜め込みなど、シロアリを呼び寄せる環境を作っていた場合。
パターン②:水漏れ・結露の通知放置
キッチン・洗面所・浴室の水漏れに気づきながら大家に報告せず、結果としてシロアリが発生した場合。判例上、通知義務違反として借主負担が認められたケースがあります。
パターン③:DIYで悪化させた場合
市販薬剤を誤った使い方で大量散布し、被害が拡大した場合。「自分で駆除を試みた行為が損害拡大の原因」と判断されると修繕費の一部が請求されます。
3. 分譲マンションでの責任分担:管理組合と区分所有者
区分所有法により、分譲マンションでは「専有部分」と「共用部分」の区別が重要です。国土交通省「マンション標準管理規約」では以下のように整理されています。
| 箇所 | 区分 | 負担者 |
|---|---|---|
| 専有部分の床・壁・天井(仕上げ材) | 専有 | 区分所有者 |
| 玄関ドア(外側) | 共用 | 管理組合 |
| 玄関ドア(内側)・室内建具 | 専有 | 区分所有者 |
| バルコニー(専用使用部分) | 共用 | 管理組合 |
| パイプスペース(PS)の構造材 | 共用 | 管理組合 |
| 1階の床下木部 | 共用 | 管理組合 |
4. 賃貸でシロアリ発見時の正しい連絡フロー
- 状況を写真記録:羽アリ・蟻道・被害木材を複数枚撮影
- 大家・管理会社に連絡:必ず文書(メール・LINE)で証拠を残す
- 自分で駆除剤を使わない:被害悪化や責任所在不明化を防ぐ
- 業者の見積取得は管理会社経由:勝手に依頼すると費用負担拒否の可能性
- 修繕完了報告書をもらう:将来のトラブル防止
4-2. 状況別「誰が払う?」シナリオ早見表
「自分のケースは大家負担/借主負担どっち?」を判断するためのシナリオ早見表です。判例・国交省ガイドラインに基づく一般的な判断基準を整理しました。
| 状況 | 原則の負担者 | 根拠 |
|---|---|---|
| 築20年木造アパート1階・床下から羽アリ | 大家 | 民法606条/構造的劣化 |
| 築5年RCマンションで初発生 | 大家 | 民法606条/建物起因 |
| 段ボール大量放置で発生 | 借主(一部負担可能性) | 民法400条/善管注意義務違反 |
| 水漏れ通知せず発生 | 借主(一部負担可能性) | 通知義務違反の判例あり |
| 市販薬剤DIYで悪化 | 借主(拡大分のみ) | 損害拡大原因 |
| 分譲マンション専有部の家具被害 | 区分所有者 | 区分所有法/専有部 |
| 分譲マンション1階床下木部 | 管理組合 | 標準管理規約/共用部 |
| サブリース物件で発生 | サブリース会社 | 賃貸人の地位 |
| UR賃貸・公営住宅 | UR/自治体 | 管理主体が賃貸人 |
| 家賃滞納中に発見 | 大家(駆除費は別問題) | 滞納と修繕義務は別 |
5. アパートと分譲マンションのシロアリ発生リスク比較
| 建物タイプ | 発生リスク | 主な侵入経路 | 注意階 |
|---|---|---|---|
| 木造アパート(築20年以上) | ★★★★★ | 床下・基礎 | 1階全室 |
| 軽量鉄骨アパート | ★★★ | 床下・木質下地 | 1階・1.5階 |
| RC造分譲マンション | ★★ | 植栽・配管周り | 1階・低層階 |
| タワーマンション | ★ | 羽アリ飛来 | 低層階・植栽近隣 |
| 賃貸一戸建て | ★★★★★ | 床下・玄関・浴室 | 全階 |
6. 大家・管理会社が動かない場合の対処
連絡しても放置される場合、以下の段階的対応が有効です。
- 内容証明郵便で再通知:日本郵便で約1,200円
- 消費生活センター(188)に相談:国民生活センター窓口
- 自分で駆除し費用を後請求:民法第608条「必要費償還請求権」
- 家賃減額請求:民法第611条「使用収益不能による賃料減額」
ただし④の家賃減額・自主駆除は法的トラブルになりやすいため、まずは内容証明+消費生活センター相談を推奨します。
7. 賃貸契約書のチェックポイント【特約に注意】
賃貸契約書には「害虫害獣の駆除費用は借主負担」「室内設備の修繕は借主負担」など、民法の原則を上書きする特約が含まれていることがあります。消費者契約法10条により、借主に一方的に不利な特約は無効と判断される判例もありますが、トラブル予防のため契約前にチェックすべき項目を整理しました。
| チェック項目 | 確認ポイント/対応 |
|---|---|
| 築年数(築20年以上は要警戒) | 木造旧耐震は被害事例多い/過去の駆除履歴を確認 |
| 1階・半地下の有無 | 地中からの侵入リスク/床下点検口の有無確認 |
| 過去のシロアリ駆除履歴 | 5年以内の予防施工があれば安心/施工証明書の写しを請求 |
| 植栽・庭木との距離 | 切り株・木材集積はリスク/玄関先の枕木など要警戒 |
| 害虫害獣条項の特約 | 「借主負担」特約は消費者契約法10条で無効可能性/写真撮影で記録 |
| 修繕義務の範囲 | 「賃借物の使用に必要な修繕」を借主負担としていないか/民法606条と矛盾 |
| 原状回復の特約 | シロアリ被害の原状回復を借主負担とする特約/国交省ガイドライン違反 |
| 解約時の特約 | 「契約解除には3ヶ月前通知」等の重い負担/民法上は1ヶ月前で足りる |
- 物件下見時に床下点検口の場所と過去の駆除履歴を口頭確認
- 契約書を写真撮影/コピーで持ち帰り、特約欄を読み込む
- 不明点は宅建士に説明義務がある(重要事項説明)
8. 物件タイプ別のシロアリ被害実例【2026年版】
ケース①:築40年木造アパート(東京都・1階)
2025年11月、東京都江戸川区の築40年木造アパート1階。畳をめくった際に床下から羽アリが大量発生。借主は管理会社に即連絡、大家負担で全棟予防工事(5戸合計38万円)。借主負担はゼロ。連絡時に動画+日時記録を保存しておいたことで責任分担がスムーズに進んだ事例。
ケース②:分譲マンション1階(埼玉県・所有者)
2025年9月、埼玉県さいたま市の築15年分譲マンション1階。風呂場の木材腐食からヤマトシロアリ発見。管理組合に申請したが「専有部内」と判定され、区分所有者の自己負担18万円。管理規約の境界線で揉めるケースの典型例。
ケース③:賃貸一戸建て(千葉県・木造2階建)
2025年8月、千葉県市川市の築22年賃貸一戸建て。庭の物置裏からイエシロアリの蟻道発見。大家負担で全宅予防(28万円)。借主の通報が早かったため被害拡大なし、退去時の原状回復も一切請求されず。
ケース④:サブリース物件(大阪府・1K木造)
2025年12月、大阪府大阪市のサブリース木造アパート1階1K。サブリース会社に連絡したが「個人の問題」と回避され、消費生活センター介入で最終的にサブリース会社負担(12万円)に決着。サブリース契約では負担逃れの事例が多発するため、契約書の修繕義務条項を必ず保管しておく。
9. 「大家・管理会社が動かない時」の段階的エスカレーション
| 段階 | 連絡先 | 所要日数 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 1. 管理会社に書面で再督促 | 担当者→責任者 | 1-3日 | ★★☆ |
| 2. 消費生活センター | 188(全国共通) | 3-7日 | ★★★ |
| 3. 自治体の住宅相談窓口 | 市区町村役所 | 5-10日 | ★★★ |
| 4. 弁護士無料相談 | 法テラス | 7-14日 | ★★★★ |
| 5. 賃料減額請求/契約解除 | 内容証明郵便 | 14-30日 | ★★★★★ |
民法第611条「賃借物の一部使用収益不能による賃料減額」により、シロアリ被害で住居の一部が使用できない状態が継続する場合、使用不能割合に応じた賃料減額を請求できます。例えば床の腐食で寝室が使えない場合、家賃の20-30%減額が妥当とされます。
10. シロアリ発見時の連絡フロー【保存版チェックリスト】
発見から駆除完了までの13ステップ
- シロアリ・蟻道・羽アリを撮影(広角・接写の2枚)
- 発見日時・場所をメモ(できれば動画15秒)
- 絶対に触らない・潰さない・殺虫剤を撒かない(拡散リスク)
- 賃貸契約書の「修繕義務」条項を確認
- 管理会社へ電話+メール(書面記録)
- 大家への直接連絡(管理会社経由)
- 専門業者の無料診断申し込み(複数社推奨)
- 診断結果書を管理会社に共有
- 駆除費の負担割合を書面で合意
- 駆除工事の立会い・記録
- 領収書・保証書の受取
- 確定申告時の雑損控除検討(借主負担分があれば)
- 5年保証期間中の追加発生時の対応確認
11. 賃貸契約書の「シロアリ特約」チェックポイント
近年、一部の悪質な大家・サブリース会社が「シロアリ駆除費は借主負担」という特約を契約書に組み込むケースが報告されています。民法第606条の修繕義務に反する特約は、消費者契約法第10条により無効とされる可能性が高いです。
契約時に以下の項目を必ずチェック:
- 「害虫駆除費用は借主が負担する」という包括条項の有無
- 「主要構造部の修繕は借主が分担する」という条項
- 「経年劣化による損傷も借主負担」という記載
これらの特約が含まれている場合、契約前に削除・修正を要求するか、消費生活センター(188)に事前相談してから契約することを強く推奨します。
12. シロアリ予防の「大家×借主」分担モデル【新提案】
| 項目 | 大家の責任 | 借主の協力 |
|---|---|---|
| 5年に1回の予防工事 | ○(実施) | 立会い協力 |
| 床下点検(年1回) | ○(手配) | 立会い協力 |
| 湿気管理 | 換気設備の維持 | 換気の励行 |
| 段ボール等の片付け | – | ○(責任) |
| 水漏れの通知 | 修繕 | ○(即通知) |
| 羽アリ・蟻道発見時の通報 | 受領→対応 | ○(即通報) |
このモデルを契約時に大家と合意しておくと、トラブル発生時の責任分担が明確になります。賃貸住宅管理業協会の標準契約書ひな形にも類似の枠組みが推奨されています。
FAQ:賃貸シロアリのよくある質問
- Q1. 大家がシロアリ駆除を拒否した場合、退去できますか?
- A. 民法第611条により、シロアリ被害で居住に支障があれば賃料減額請求が可能です。被害が著しい場合は契約解除(無償退去)も認められる可能性があります。
- Q2. 自分で駆除した費用を大家に請求できますか?
- A. 民法第608条「必要費償還請求権」により請求可能です。ただし事前に大家に通知し、見積書・領収書の証拠を残すことが必須です。
- Q3. シェアハウスのシロアリ駆除費は誰が負担?
- A. 運営会社(賃貸人)負担が原則です。ただし入居者間の共用エリアの清掃不備が原因と判断されれば、入居者全員での按分負担になるケースもあります。
- Q4. ペットを飼っているとシロアリ駆除費が借主負担になる?
- A. ペットの存在自体は借主負担の理由になりません。ただしペットの食べ残しを放置してシロアリを呼び寄せた等の過失があれば例外です。
- Q5. 民間賃貸保証会社の保険でシロアリ駆除費は出ますか?
- A. 通常の家財保険・賃貸保険ではシロアリ被害は補償対象外です。家財の被害(家具の損壊)のみ対象になる場合があります。
- Q6. 退去時にシロアリ被害があると敷金は返ってきませんか?
- A. 国土交通省「原状回復ガイドライン」上、シロアリ被害は通常損耗ではなく構造的問題のため、敷金から差し引くことは原則できません。
- Q7. UR賃貸・公営住宅のシロアリ駆除はどうなりますか?
- A. URは独立行政法人都市再生機構、公営住宅は自治体が管理者として駆除費を負担します。連絡窓口は各団地の管理事務所です。
まとめ:賃貸シロアリは「即連絡・記録・自分で触らない」
賃貸物件のシロアリ被害で借主が損をしないための鉄則は3つです。
- 発見したら写真を撮って即連絡(メール・LINEで記録を残す)
- 自分で駆除しない(責任所在を曖昧にしない)
- 修繕完了報告書をもらう(将来の退去時トラブル防止)
大家・管理会社が動かない場合は、内容証明と消費生活センター(188)への相談で動かせます。
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記事の信頼性について
本記事はシロアリ駆除コンパス編集部が、公益社団法人日本しろあり対策協会、住宅瑕疵担保責任保険法人(JIO)、国民生活センター、各地方自治体の公開資料、主要シロアリ駆除会社13社の料金表を横断比較してまとめた研究レポートです。個人の体験に基づく内容ではなく、業界平均・公的データを根拠としています(最終更新:2026年5月3日)。
公的データに基づく補足
- シロアリ防除の標準仕様は公益社団法人日本しろあり対策協会が制定(出典:公益社団法人日本しろあり対策協会「JTA仕様」)
- 建築基準法で木造建築物には防腐・防蟻措置が義務付け(出典:建築基準法施行令第49条)
- 住宅の築年数分布は住宅・土地統計調査で確認可能(出典:総務省「住宅・土地統計調査」)
- シロアリ被害は林野庁の森林被害調査でも継続的に把握(出典:林野庁「森林被害調査」)
※本記事は上記の公的統計・公的機関の公表値を参照のうえ作成しています。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。

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